ホメオスタシス(恒常性の維持)とは?

ホメオスタシスとは、日本語では恒常性(こうじょうせい)維持機能と言われ、環境が変化しても体の状態を一定に保とうとする生体的働きのことをいいます。

例えば「暑くなったら、体は勝手に汗をかいて体温調整をする」
……これがホメオスタシスの働きです。

私たちは普段とくに意識していないけれど、このホメオスタシスの働きによって体は勝手に状態を安定させるように働いてくれています。 

私たちの体は、ケガをすれば傷口をふさごうとしますし、菌やウィルスが体内に入ってきたらそれを排除しようとします。
走って体の酸素が不足すれば、呼吸を荒くして多くの酸素を取り入れようとします。

これらも全てホメオスタシスの働きによるもの。
この機能が無意識化で働いてくれているからこそ、私たちは生きていけるのです。

ただし、そんなありがたいホメオスタシスが私たちにとって邪魔な存在になることがあります。

……それは、何か変化を起こそうとする時です。

ホメオスタシスは状態を保とうとする機能、つまり変化に対抗する機能ですから、どうしてもそこで対立が起こってしまうのです。

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ダイエットでのホメオスタシス効果

よく聞くのがダイエットにおけるホメオスタシス効果

ダイエットで食事を減らすと、数日間は順調に体重が落ちていきます。
しかし、その後それまでのように体重が落ちなくなる停滞期がやってきます。

これは、飢餓状態(摂取カロリーが基礎代謝より少ない状態)になると、基礎代謝を抑えて餓死から逃れようとする機能(ホメオスタシス効果)が働くためです。

遭難した人が、わずかな食料だけで何日も生き抜くことができるのもこのホメオスタシス効果が働くためです。

考えてみれば、人間の歴史の殆どは飢餓との戦いの歴史でもあったわけですから、この機能がなければ人間はとっくに滅びてしまったわけです。

現状を維持しようとする働き

このホメオスタシスは、体だけでなく、脳や心にも働いています。

何か新しいことにチャレンジしてみてもいつの間にかいつも通りの自分に戻っている、なんてことは誰にでもよくある話です。

一念発起して英会話にチャレンジしたものの……結局続かなかった。
毎年、正月には「今年の目標」を高らかに宣言するも……続いたのは1週間だけだった。。。

こんな所でも、ホメオスタシスが働いていると言えます。
ホメオスタシスが現状維持プログラムとなって、私たちの変化を拒むわけです。

ダイエットでも何でも変化を起こそうと思えば、このホメオスタシスという現状維持プログラムが壁となって立ちはだかるのだと考えておきましょう。

生きていく上で必要な機能だけれど、変化を起こす時には邪魔になる ── それがホメオスタシスです。

ホメオスタシスを超える

私たちが自分を変えようと思っても、ホメオスタシスという機能がそれを拒もうとする。

しかし、それを乗り越えることができれば、ホメオスタシスは今度はその新しい状態を保とうと機能することになります

つまり、体重90kgの人がダイエットしようとするとホメオスタシスが働いて90kgを保とうとする力が働く。
でもそれを乗り越えて70kgまで体重を落とすことができれば、今度はホメオスタシスがその70kgを保とうと機能するようになる、というわけです。

本当の意味で「変わる」とは、そういうことなのでしょう。

無意識が新しい状態を維持しようと働くまで意思の力で繰り返す。

「それができりゃ苦労しないよ」という声も聞こえて来ますが、「変わる」には結局それしかないのです。

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カテゴリ モチベーション理論
 タグ  脳科学

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