自分を守ろうとする防衛機制(ディフェンス・メカニズム)とは?

防衛機制とは、自己を守るために無意識的に起こる精神的な防衛メカニズムのことです。

人間は何らかの葛藤や痛みを予感すると、そのような状況を避けて自分を守ろうとする心の動きが発動します。

それが『防衛機制(ディフェンス・メカニズム)』と呼ばれるものです。

私たちは日常の些細なことに対しても防衛機制を発動していて、それ自体は問題ありませんが、防衛機制が強く働きすぎると問題が生じてくることがあります。

それはたいてい問題を先送りするばかりで、何の解決にもならないことが多いからです。

あまり敏感になる必要はありませんが、このメカニズムを知っておけば無意識のうちに問題をかえって大きくすることなどが避けられるようになるでしょう。

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目次

逃避とは? 

困難な現実から逃れようとする防衛機制。
さらに下記の4つに分類される。

逃避・・・状況から逃げ出すことで、不安や緊張、恐怖をなくし、自分自身を守ろうとする。
(例:嫌いな上司に会うのを避ける)

現実への逃避・・・困難に直面するのを避け、本来関係のない別の行動に没頭することによって気を紛らわそうとする逃避行動。
(例:試験前に部屋の掃除に必要以上に時間を費やす)
(例:解決すべき夫婦間の問題から逃避するために過度に仕事にのめり込む)

空想への逃避・・・困難な状況から空想の世界へ逃げて、そこで現実には満たされない自己実現を夢見る。

病気への逃避・・・病気を理由に困難な事態から逃れようとする。
(例:学校や会社に行こうとすると熱を出したり下痢を起こす)

抑圧とは?

欲求不満や不快な思考を無意識下に抑え込み思い出さないようにする防衛機制。

無かったことにしようとする心の働き。

(例:本当は嫌いな両親に対する気持ちが表に出ないように押さえ込む)

投射(投影)とは?

自分が持っている社会的に望ましくない感情や衝動を他人が持っていることにしようとする防衛機制。

責任を転嫁しようとする働き。
(他人に感じる嫌悪感は実は自分自身がその傾向を持っているからそれが気になってしまう)

(例:私が彼女のことを嫌いなんじゃなくて、彼女の方が私を嫌ってる)
(例:あの人のだらしない所がどうしても許せない。)

同一視とは?

他人の優れた能力や実績を自分とを同一視することで自己評価を高め欲求を満たそうとする防衛機制。

(例:有名人の服装や言動を表面的に真似る、ブランド物で身を固める、出身校を自慢する)

反動形成とは?

無意識の中に抑圧されている強い感情や衝動が、正反対の傾向となって行動などに表れる防衛機制。

本来の感情や衝動がそのまま表面化すると自己評価が低下する恐れがあるため逆のことをやろうとする心の働き。

(例:好きであることを悟られないためにそっけない態度をとる)

合理化(理屈づけ)とは?

何かもっともらしい理屈をつけて、自分の失敗や好ましくない体験を正当化しようとする防衛機制。

努力しても入手できない目標の価値を低めたり、すでに自分が所有しているものの価値を過大評価しようとする働き。

(例:手の届かないブドウはすっぱいブドウだと自分に言い聞かせる)
(例:仕事を失敗したのは、難しい仕事を押し付けた上司が悪いから)

補償とは?

ある分野での劣等感を解消するために他の分野で優越感を求める防衛機制。

(例:勉強ができないからスポーツで活躍する)

昇華とは?

性的欲求や攻撃的欲求などの社会的に承認されない抑圧された欲求や衝動を、社会的・文化的に承認される価値のある好ましい形に置き換える防衛機制。
主にスポーツや芸術、仕事や学業へ衝動欲求を転換する。

(例:失恋をきっかけにスポーツに打ち込む)

置き換えとは?

特定の対象に向けられた欲求や衝動を他の対象に向けることによって欲求不満を解消しようとする防衛機制。

(例:異性の持ち物に愛着を示す。会社のストレスを家庭で爆発させる)

否認とは?

認めたくない現実を無意識のうちに拒否する防衛機制。

それが現実だと認めることは耐えられないと感じて、その現実を受け取らずに遮断しようとする心の働き。

(例:医者の言ってることは間違いだ。私は決してガンではない)

まとめ

ここまで私たちの中で無意識的に起こる心の防衛メカニズム(防衛機制)について書いてきました。

「あー自分もこんな反応してたなぁ」というものがきっとあったのではないでしょうか。

また、「あの人の不可解な言動の原因はこれだったのか」というものもあったかもしれません。

これらは自分自身を守ろうとする心の働きですから決して悪いものではありません。
しかし、都合の悪い現実でもそれとしっかり向き合わなければならない時があります。

防衛機制が効き過ぎて不都合が出ていないか、考えてみるのも良いでしょう。


カテゴリ モチベーション理論
 タグ  脳科学

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