アンダーマイニング効果
〜やる気を奪う「ご褒美」の正体

『アンダーマイニング効果』とは、内発的に動機づけられた行為に対して、報酬を与えるなど外発的動機づけを行うことによって、動機づけが低減する現象。過正当化効果ともよばれる。

金銭など外的な報酬を求めずに自ら進んで行った行為、例えばボランティア活動や何かのゲームに取り組んだことなどを想像してみてください。
例えば「お年寄りに親切にする」「道路の掃除や雪かきをする」などでもいいですし、「テレビゲームをする」でもいいでしょう。

この場合、これらの行為は単純に「役に立ってうれしい」や「達成したい」という内発的動機付けによって行動しているはずです。

しかし、ある日突然それらの行為に対して金銭などの報酬がもらえるようになったとします。
「道路の掃除をしたら5,000円もらえる」「ゲームをクリアするごとに1回100円もらえる」といったものです。

そうすると不思議なことに、外的な報酬がなければそれをやりたくなくなってしまうという現象が起こります。
そもそもやりたいからその行為をやっていたのであって、金銭など外的報酬を求めて行動していたわけではなかったにも関わらずです。

つまり、無意識のうちにその行為に対して求める対価(価値)が置き換わってしまったわけです。

いつの間にか、金銭が得られないなら行動する意味が無いと判断するようになってしまうわけです。

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目次

人の意欲は二種類

2種類のモチベーション

人の意欲には大きく分けて二種類あります。

一つは「外発的モチベーション」。頑張ることで物質的な報酬や評価を得ようとする意欲。
もう一つは「内発的モチベーション」。これはやっている仕事や遊びの内容自体に面白さや充実感などを感じて頑張ろうとする意欲です。

一般的に内発的モチベーションの方が持続的で集中力が高く、良い結果を生みやすいと言われています。
しかし、この内発的モチベーションはちょっとしたことがキッカケで、簡単に外発的モチベーションにシフトダウンしてしまうのです。

先ほどの例のように、にわかに物理的報酬を与えられると、今後はもう報酬なしで仕事するのがバカらしくなってしまいます。

報酬を期待して出たやる気は、その報酬がなくなると消えてしまいますが、それでけでなく、元々あったやる気(内発的モチベーション)までも消してしまう恐れを含んでいます。

頑張ったからお小遣いは逆効果?

お小遣いは逆効果?

この「アンダーマイニング効果」を考慮したうえで次のケースを考えてみましょう。

ある親子の話です。小学生の太郎君は学校でやった理科のある実験がとても面白かったので、そのことについて一生懸命調べていました。

すると、それを見ていたお父さんは嬉しくなりました。
「珍しく太郎があんなに頑張って勉強してる!」

そして、「よく頑張ってるな。ご褒美に小遣い1,000円あげるぞ!」と言って太郎君に1,000円をあげました。

もちろんお父さんに悪気はありません。「その調子で頑張れ!」という気持ちで良かれと思ってしたことでしょう。

しかし、このケース結果的にどうなったでしょうか?

「アンダーマイニング効果」を考えれば、太郎君はお小遣いをもらわないと勉強しなくなってしまったかもしれません。

太郎君の中で芽生えた「もっと知りたい」という純粋な好奇心は、お小遣いという刺激的な報酬によって隅に追いやられてしまったかもしれません。

もちろん必ずしもそうなるとは限りませんが、安易に外的報酬を与えることで内発的モチベーションが消えてしまう恐れがあるということです。

これは「お金」などモノによる報酬だけでなく、「褒める」ことによっても同様のことが起こる可能性があります。
いつの間にか褒められるためにやっていたという具合です。

アンダーマイニング効果の具体例

上記のお小遣いの例以外にも、アンダーマイニング効果の具体例を紹介します。

🧒 子ども・教育の場面

絵を描くのが好きな子に「コンテストで賞を取ったらご褒美」
→ “好きで描く”から“評価されるために描く”へシフトして創造性が下がる。

「テストで100点取ったらゲーム1時間」
→ 学ぶ楽しさよりも“ゲームのためにやる”状態になり、勉強意欲が短命化。

💼 仕事・職場の場面

「残業したら手当を出す」制度
→ “仕事の達成”より“残業すること”自体が目的化する。

上司からの「これをやれば評価する」発言
→ “自発的な挑戦”が“評価待ち姿勢”に変わり創造性が低下。

社内表彰制度
→ 表彰される人が固定化すると「どうせ自分は選ばれない」とモチベが落ちる。

🎨 趣味・クリエイティブの場面

好きで描いていたイラストがSNSでの“いいね”狙いに変わる
→ 外部評価が基準になり“純粋に楽しむ”感覚が薄れる。

好きで書いていたブログがアフィリエイト中心になる
→ “書きたい”より“稼がなきゃ”に変わり、筆が止まる。

音楽活動が“再生数”や“フォロワー数”基準になる
→ 数字に追われて、創作への内的動機が萎む。 

まとめ

「やる気を奪うご褒美」の正体を知ると、自分や他人へのモチベーション設計が変わります。 以下のようなシーン、あなたにも心当たりはありませんか?

・好きだったことが“義務”になった瞬間
・報酬がなくなった途端に気持ちが冷めた瞬間
・評価を気にして疲れた瞬間

それがまさに、アンダーマイニング効果のサインです。 

内発的モチベーションに火がともったら、安易な外的報酬でそれを消さないように細心の注意が必要だということですね。


カテゴリ モチベーション理論
 タグ  心理学

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