ハーズバーグの動機づけ・衛生理論
「ハーズバーグの動機づけ・衛生理論」とは、仕事における満足と不満足を引き起こす要因に関する理論です。
アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグによって提唱されました。
簡単に言うと、「人間が仕事に満足感を感じる要因」と「不満足を感じる要因」は全く別物であるという考え方です。
以下で詳しく見ていきましょう。
目次
人間が持つ2種類の欲求
この理論を理解する上では、まず人間に備わっているとされる次の2種類の欲求について理解しておく必要があります。
- 苦痛を避けようとする動物的な欲求
- 心理的に成長しようとする人間的な欲求
人間には、この二つの全く異なる欲求が共存しているというのがこの理論の出発点です。
そして、次のように考えます。
苦痛を避けようとする動物的な欲求をいかに充足しても、人間は不満足感が減少するだけで積極的な満足感を増加させることはない。
また、たとえ心理的に成長しようとする人間的欲求を十分に満たすことができなくても不満足感が増加するわけではない。
つまり、仕事の満足感を引き起こす要因と不満を引き起こす要因は全く異なるということです。
不満要因(衛生要因)をいくら取り除いても満足感を引き出すことにはつながらず、不満足感を減少させる効果しかありません。
したがって、仕事の満足感を引き出すには「動機づけ要因」にアプローチしなくてはいけないということです。
「動機付け要因」と「衛生(不満足)要因」
上記の図は、「動機付け要因」と「衛生(不満足を招く)要因」についてグラフにしたものです。
不満足を招く要因(衛生要因)として最大項目は「会社の方針と管理」で35%以上の不満足を招きます。
しかしこの要因による動機付けは5%程度にしかなりません。
つまり、この要因をいくら満たしても「不満足の解消」にはなるものの「積極的な動機」を引き出す効果は限られます。
また、「動機付け要因」として最大項目は「達成」で40%程度の動機付け要因となります。
しかしこれが満たされなくても「衛生(不満足を招く)要因」としては10%程度なので、それほど大きな不満足を引き出す要因にはなりません。
従業員の「不満」を招きやすいのは会社や上司との関係性であり、「満足」を引き出すのは仕事の達成や承認なんだなぁ。
まとめ
- 職場の不満要因(衛生要因)をいくら取り除いても、満足感を引き出すことにはつながらない。
- 仕事の満足感を引き出すには「動機づけ要因」にアプローチしなくてはならない。
これによって、モチベーションをマネジメントしていく上で何が必要かがわかります。知っておくと非常に役立つ理論です。
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