距離近いッ!
侵入されると不快なパーソナルスペースの正体

きっと満員電車が好きな人なんていないでしょう ──

ギュウギュウに押し込まれた電車内で、見ず知らずの人達と密着したまま過ごすのはとても大きなストレスです。

しかし、電車が空いていれば、きっとそこまで不快ではないでしょう。ゆったり座りながら、スマホしたり、本を読んだり、自分の時間を過ごすことができます。

この違いは何でしょう?

到着するまでの時間は同じですし、もしどちらも座っていれば物理的にはあまり変わらないはずなのに、感じるストレスの強さはまるっきり違うのです。

……この違いはパーソナルスペースが原因です。
人はパーソナルスペースを侵害されるとストレスを感じるのです。

「パーソナル・スペース」とは一種の縄張り意識のようなものです。

心理学用語では「他人に侵害されたくない、自分の空間、縄張り」のことを言います。
ここでは、そんなパーソナルスペースについて、さらに詳しく解説していきます。

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目次

パーソナルスペースの実験

パーソナルスペースに関するある実験が行われました。
図書館にある大きなテーブルで一人で勉強している女子大生の隣の席に、誰か知らない人が座るとどうなるかというものです。

すると、その女子大生は落ち着かない態度を示し、肘を立てたり、頭を抱えたりして、相手の視線をさえぎろうとしました。
また、相手に背を向けたり、自分の荷物を間に置いたりして境界線を作ろうとしたそうです。

そしてその後、30分以内に70%の女子大生が席を立ってしまったといいます。

ちなみに、横に誰も座らなかった女子大生で30分以内に席を立ったのは10%に過ぎなかったそうです。

人は自分の周りにパーソナルスペースというものを意識していて、その範囲内には親しい人しか寄せ付けないようになっているのです。

満員のエレベーターで誰もが階数表示を見つめるのは、パーソナルスペースが完全に侵されている不快な状況から意識をそらすために行う無意識の行動だといいます。

満員電車において、スマホをしたり、目を閉じたり、外の景色を眺めるのも、同じように不快な状況から気をそらすという理由があるのでしょう。

家庭でもパーソナルスペースの侵害は起こる

そんなパーソナルスペースが侵されるのは、何も公衆の場だけではありません。家族など親しい間柄でもそれは起こります。

例えば、通常子供のパーソナルスペースは狭いので距離感がすごく近いものですが、成長とともに距離を取るようになっていきます。
子供にとっては健全な成長ですが、それを寂しく感じる親も多いようです。

そこで、寂しさをこらえきれずに近づこうと子供のパーソナルスペースを侵してしまうことがあります。
そうなれば、もちろん子供はそれを不快だと感じるでしょう。

これは夫婦間でも同様のことが起こります。

家族だからといって相手のパーソナルスペースをないがしろにしていると、その相手はどんどんフラストレーションを抱えていくことになります。

むしろ、毎日一緒にいる家族だからこそ、それぞれのパーソナルスペースに気を配っていく必要があります。

パーソナルスペース、4つのゾーン

さて、ではパーソナルスペースとは具体的にはどのくらいの距離なんでしょうか。アメリカの文化人類学者のエドワード・ホールは、パーソナルスペースには大きく分けて「4つのゾーン」があるとしました。

親しいと感じてる人であれば、ごく近くにいてもパーソナルスペースを侵害されているとは感じないということです。

満員電車の場合、本来恋人やごく親密な人しか許されない「密接距離」に赤の他人が入ってくるわけですからストレスを感じるのは当然です。

満員電車であっても、もし周りの人が全員好みの異性や親しい間柄の人たちなら、きっとそれを不快に感じることはないでしょう。

もちろん、パーソナルスペースには個人差があります。
一般的に、女性より男性の方がパーソナルスペースが広い、つまり他者との距離が必要とされています。

近寄った時の体の動きで親密度がわかる

パーソナルスペースを利用すれば、相手があなたにどの程度の親密度を感じているかもわかります。

ふとあなたが近づいた時、相手が体を後ろにそらす、一歩後ろに下がる、体をそらす、腕を組むようなことがあれば、その距離感だと警戒心や不快感を感じているということです。

テーブル越しに座った時であれば、あなたがテーブルに手を置いたり肘をかけたりして前のめりになっている時、相手も同じように前のめりな姿勢になってくれば、あなたに好意を持っている証拠。

逆に、相手がテーブルに手を置いたり肘をかけたりして前のめりになっているところに、あなたが同じように手や肘を置いたり、前のめりになった時、相手が手をサッと引っ込めたり、座り直したりした場合は、まだそれほど親近感を持っていないということになります。

これは非常に分かりやすいサインです。

パーソナルスペースは無意識の反応が表れやすいので、よく観察すれば相手の感じていることがよくわかるでしょう。

ただし、人によってパーソナルスペースの広さは違いますし、その時の状態によっても変わってきます。

「近づいたら避けられた」からといって安易に「嫌われてる」などと決めつける必要はありません。

仲良くなりたければ座る位置にも注意

特に男性のパーソナルスペースは前方に長いと言われています。
つまり真正面に立ったり座ったりすると、相手のパーソナルスペースに侵入しやすいということです。

従って、真正面で座るテーブル席より、カウンター席など隣同士に座る席の方がリラックスできて話しやすいと言われています。

初対面など最初のうちはできるだけ真正面に座るのを避け、親密度が増してきたら真正面に座る、何かしらの理由でどちらかがストレスを抱えているときは、無駄なストレスを与えないためにまた真正面に座るのを避けるなど、その時々の感情や関係性にも配慮して座る位置を変えていけるとベストです。

自分だけでなく相手のパーソナルスペースも尊重するよう気を配ってあげると、きっとその人は「あなたといると快適だ」と感じるようになっていくでしょう。

人間関係を構築していく上でも、自分自身が不要なストレスを溜め込まないためにも、パーソナルスペースをうまく活用することはとても役立ちます。
ぜひ色々試してみてください。

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