愛する愛される
モチベーションアップの法則

人を愛する、人に愛される
〜心が充足するのはどっち?

ヘルマン・ヘッセの「メルヒェン」という短編集の中に、愛されることの幸福と不幸を深く掘り下げた「アウグスツス」という作品があります。

これは個人的に深く心に残っている物語です。 これを読んだ当時、色々なことを考えさせられました。 今でも時折思い出します。

とても深い内容なので、ここで紹介させていただきます。

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「アウグスツス」要約

ある日、若い母親は隣に住む不思議な老人に「お前の息子のために願いを一つだけ叶えてあげよう」と言われた。
母親は迷った挙句、「この子が誰からも愛される人間になりますように」と願った。

少年は、明るく元気な目をしたかわいいブロンドの少年に成長した。
そして、母親には甘やかされ、どこへ行っても好かれた。 

ふと、母親はあの時の自分の願いが叶っていることに気が付いた。
誰もが彼に手を差し伸べ、好意を示すのだ。

彼がいたずらをしても、彼がしたのだとは誰も信じなかった。 たとえそれが否定できない場合でも、みんな肩をすくめて「あんな良い子は、何をしたって全く悪くは取れないよ」と言った。

そのせいか、やがて少年は、自分に好意を寄せる少女の指輪を取り上げるなど、どんどん横暴な態度を取るようになっていった。

ある時、それを見かねた母親が少年を叱って罰すると、彼は激しく泣き、「みんな自分に優しく良くしてくれるのに、お母さんだけはそうではない」と不服を言った。 

さらに成長した少年は、裕福な未亡人の恋人になり、上流階級の人間のような贅沢な暮らしをするようになった。
物ごとが思いのままにかなう魔力が彼の目と唇には宿っていた。

彼が周囲の人たちを騙し、冷酷な仕打ちをしても、人々は彼を愛した。 

やがて彼は、そんな周囲の人々のことが愚かしく滑稽に思えてきた。 彼らを見くびり、軽蔑を示したくてたまらなかった。 

そして、次第に心は空虚になり、魂は病み患っていった。 

彼は、本当は受ける資格もない愛に囲まれていることに、飽き、嫌気がさしていたのだ。 決して与えることをせず、常にただ受け入れているばかりの、浪費される生活に無価値感を感じていた。

絶望した彼は、命を絶つことを決意した。 

そして、まさにそれを実行しようとした時、彼の元に再び不思議な老人が現れた。 彼は老人に、自分の「誰からも愛される」魔力を取り消してほしい、そして自分を「誰をも愛せる」ようにして欲しいと願った。

すると、彼にかけられていた魔力は解けた。
周囲の人々は手のひらを返したように彼をののしり、侮辱するようになった。 そして、それまでに関わった人たちが次々やってきては彼の過去の罪を並び立て、彼に奪われた財産を取り返していった。

彼は牢に入れられた。
── そこを出た時には、彼は病み、老けこんでいた。 もはや誰も彼のことを知らなかった。

しかし彼は幸せを感じていた。
今の彼は、どんな人を見ても、喜び、いとおしく思うのだ。 人々の生活の営みを見て、感動し、美しいと感じるのだ。

そして、彼は何らかの形で人々の役に立ち、自分の愛を示すことのできる場所を探すようになった。
彼は、至る所で愛情を持ってささやかな親切を尽くした。 

彼は満足し、世の中は素晴らしく、愛すべきものだと思った。 

やがて、年老いた彼は、冬の到来とともに母親と暮らした町に戻った。 そして、そこで不思議な老人に看取られながら、安らかな最後を迎えた……。

私たちの心を充足させるものとは?

この物語を読むと、「人から愛されること」と「人を愛すること」について、深く考えさせられます。 

私たちは、多くの人から愛されることが幸せだと思い、それを願っています。
しかし、果たしてそれは本当に幸せなのでしょうか?
誰からも愛される能力より、むしろ誰をも差別なく愛することができる能力こそが、本当の幸せに繋がるんじゃないだろうか?

私たちの心は、愛されることではなく、愛することによって充足するのではないだろうか?

この物語はそんなことを教えてくれているかのようです……。

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