才能を伸ばし秘められた力を引き出す、最強コーチの関わり方

先日とても興味深いテレビ番組を見ました。
Eテレの「奇跡のレッスン~世界の最強コーチと子どもたち~「サッカー編」」という番組です。

その内容は、カリスマコーチによる1週間の特別レッスンを通して、子どもの成長を描くドキュメンタリー。
今回は監督としてフットサル日本代表をアジアカップ2連覇に導くなど、世界を舞台に活躍するフットサルコーチのミゲル・ロドリゴさんが、東京・文京区の小学生のサッカーチームを指導するというものでした。

そこに映し出されていたものは、子供達が自分の秘められた力を発揮していく姿
1週間のレッスン最終日に行われた練習試合では、いつも接戦を演じていたチームに9−0の勝利。見違えるほど成長した子供たちの姿がそこにはありました。

たった1週間で子供たちを大きく成長させ、秘められた力を発揮させたミゲルさんのレッスンとはどんなものだったのでしょう?

それは、スポーツの指導者だけでなく、子供を持つ親にとっても大いに参考になるものでした。

レッスンのテーマ

子供達の練習風景を見て、ミゲルさんが今回指導のテーマにしていたことは2つ。

①自ら考える力を養うこと。
②挑戦する心を養うこと。

それは、日本でよく行われている練習では「子供達が自分で考えていない。パスなどの型を覚えるだけになっている」という問題意識から出たテーマでした。

言うまでもなく、これらはサッカーだけでなく人生においても大切なことです。今回、子供達はサッカーを通してこうしたことを学ぶわけです。

ミゲルさんがやっていたこと

練習はゲーム感覚で楽しくやる

「練習はゲーム感覚を取り入れて楽しみながらやる。同じ練習は長くやらない。慣れてきたらルールを変える。」
そういったことを実践していました。

これにより、子供達は退屈することなく練習に集中します。また、次々と新しいルールが適用されるので最大限に頭も使わなければなりません
日本ではこうした指導はほとんど見受けられません。退屈な反復練習を苦行のように繰り返すことで型を身につける練習がほとんどです。

子供達に考えさせる

答えを自分で発見させ。うまくいけば一緒に喜ぶ。

どこか間違っているときはその都度練習を止め、「どう思う?」と子供達に聞いていました。ヒントは与えますが答えは自分で考えさせます。自分で発見した答えならずっと忘れないからです。

一方、日本型の指導ではたいてい、ミスや失敗に対して「バカ野郎!何やってんだ!違うだろ!」という威嚇により子供達の思考をストップさせ、決められたことをミスせずにやるよう求めるのが主流です。

褒める、乗せる

「ナイス正太郎。ナイス!ナイス!」「うまい!うまい!」そう言って子供達を乗せていきます。
「君はネイマールのようだ」「もう誰も君を止められないな」など子供達をその気にさせます。

ここで難しいのは、ただ褒めると言ってもそのやり方にもちょっとしたコツが必要ということです。
「頑張ったねぇ〜」といったどこか評価的なニュアンスや操作的な感じのある褒め方ではなく、「イェーイ」という友達同士のような感じ

また、どこを褒めるのかについても明確な基準を持っているはずです。例えばそれはゴールを決めた、試合に勝った、といった目に見える結果だけではなく、積極的なプレーを見せた、陰ながら誰かのサポートをした、といった姿勢や態度に関しても強く向けられていました。

強みを見つける

彼は強みを見つけることに強いこだわりを持っているようです。次のように語っていました。

「眠っている強みを見つけ出す。 どの子供にだって必ず光るものがある。それを必死で探して褒めます。 それによって子供は自分の決断に自信を持てるようになります。」

本人も気づいていない才能の芽を見つけ、伸ばす。それこそがミゲルさんの信念。

「人のミスを見つけて叱ることは誰だってできる。 でもそれは臆病者のすること。 隠れた良いところを見つけ出す。 はるかに難しい作業だけど私はそちらを選ぶ

教えていたこと

ミゲルさんが子供達に教えていたことも印象に残りました。

プレーに気持ちを込めること

ある場面では、「ゴールをよく見てハートを込めて打つんだ」と言って気持ちを込めたプレーをすることを教えていました。

またある場面では、「(ボールを取られてしまった子供に)次は絶対にボールを取られない」と力強く宣言させていました。

きっと、勝負所で絶対に負けないんだ!という強い気持ちを育もうとしていたのでしょう。

失敗を恐れず何度でもチャレンジすること

「誰だってミスをする。ミスから学べばいい」そう言って決して子供達の失敗を責めるようなことは絶対にしませんでした。

チームプレイ

「才能豊かな選手は周囲より秀でている分、自分のエゴが強くなりがちです。「出る杭をうて」とは思わない。ただ自分の才能を周りのために使う喜びを知っておいてもいい。」

例えば、ある選手がゴールを決めた時、ゴールを決めた本人でなく、良いプレーでそれを演出した選手もちゃんと褒める。ゴールはその選手がくれたものだと口に出して、関わった選手たちでハイタッチさせる。それによってチームプレイで何が大切なことなのかを子供達に教えていました。

この辺りは、言葉で事細かに教えるというより、体験させ感覚で覚えさせているのも印象的でした。

褒めてばかりでは、子供達が調子に乗って自分勝手なプレーに走るのではないかと言う懸念があるかもしれません。 しかし、それでも彼は決して失敗を指摘して怒ったりはしません。
仮に子供が自分勝手なプレーをしたら、きっとプレーを止め、いまのプレーをどう思うか子供にきくでしょう。
もしくはそれを指摘せずに、チームプレーをした時にそれを褒めることで、何が良いことなのかを感覚的に理解させようとするはずです。

子供の成長は大人の関わり方次第

その他にも、ミゲルさんの言葉には心に留めておきたいものがたくさんありました。

ある選手のことを思い出す。 チャンスでシュートを打ったら「パスだろ」と怒られ、次にパスすると「シュートだろ」と怒られた。 その子は自分から積極的なプレーをしなくなりました。 僕ら大人の責任は大きい。まずは子供の判断を尊重し、失敗を見つけても後で指摘すればいいんです。

子供には子供の想いがあります。大人の都合を押し付けてはいませんか。

子供の態度の悪さを叱っても、子供の機嫌はますます悪くなる。 もしチームにそういう選手がいたら放っておく。気にかけて欲しいだけだから。 みんなが相手にしなかったら、本人は諦めざるを得なくなります。 2、3回繰り返すと不機嫌になっても意味がないと気づく。 不機嫌にならなかった時に思い切り褒めてあげると良い。

太郎くんの自信の量が底をついていた。 だから太郎くんの心のボトルに自信を注いであげたかった。 褒めすぎは決してよくない。でも日本はプレッシャーだらけ。 だから家族の皆さんがプレッシャーから解放してあげて欲しい。

前向きな教育方針でお願いします。 悪いところばかりを指摘しないでください。 絶対悪さはするんです。でも本当にいい子たちですから、たくさん褒めてあげてください。

まとめ

これまで見てきたように、ミゲルさんの子供達への関わりは、我々日本人のこれまでの常識とは根本的に異なるものです。

ミゲルさんのように「子供を褒めて伸ばす」ということは、昨今よく耳にするようにはなってきました。
しかし、その表面的な部分だけを捉えて実践しても子供にはなかなか通用しません。
今回のミゲルさんの指導には、その「褒めて伸ばす」を実践するためのヒントがたくさん含まれていました。

スポーツの指導者や子供を持つ親だけでなく、部下を持つ上司や人との関わり合いがあるすべての人にとって多くの学びがあるであるはずです。
機会があれば是非見てみてください。
DVDも発売されています。

奇跡のレッスン~世界の最強コーチと子どもたち~ サッカー編 ミゲル・ロドリゴ

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