憧れの晴耕雨読というライフスタイル
晴耕雨読とは
晴耕雨読(せいこううどく)とは、世間のわずらわしさから離れて、心穏やかにくらすことのたとえ。
晴れた日には田畑を耕し、雨の日には家で読書を楽しむといった、のんびりとした生活を送ることから「晴耕雨読」と言われます。
晴耕雨読は憧れのライフスタイル?
ストレスの多い現代人にとって、晴耕雨読の暮らしは憧れの対象になっているようです。
煩わしいアレコレから離れ、自然のリズムに合わせてのんびり暮らしながら、晴れた日には畑を耕すことで体を動かし、雨の日には読書することで知的好奇心も満たすことができます。
まさに悠々自適、のんびりとした暮らしです。
一般的に、知識人や文化人といった資質を持っている人は、そうした暮らしに憧れる傾向があるようです。
もっとも、本当に晴耕雨読の生活を送るとなると、それは思ったほど簡単なことではありません。
実際、晴耕雨読の暮らしを求めて都会から田舎へ移住した人の多くは、数年で都会に戻るといいます。
その理由は、地元のコミュニティに馴染めないことなどが主な原因です。
煩わしさから逃れようと思ったのに、そこにはまた田舎特有の別の煩わしさがあった、ということなのでしょう。
以下に、晴耕雨読の生活をする際に乗り越えなくてはならない3つのポイントを挙げておきます。
晴耕雨読3つの問題点
お金の問題
晴耕雨読の暮らしといえども、ある程度の現金収入は必要です。 老後の心配がないほどの蓄えがあるのなら別ですが、そうでなければ結局はアルバイトするなどして現金収入を確保する必要があるでしょう。
都会で暮らすよりは大幅に支出が減るかもしれませんが、それでも水道光熱費や食費、医療などのお金は必要になります。
外に働きに出ようと思っても、田舎には都会ほど仕事が無いという問題もあります。
地元のコミュニティでの人間関係
完全に山の中でポツンと暮らすのでなければ、地元の人たちとのコミュニケーションが求められることになります。
それまで都会で暮らしていた人は、そこでの人間関係や距離感に悩むことも多いようです。
畑仕事をして帰ってきたら、自分の家の居間で近所のおばさんが寛いでいた、なんていうことも覚悟しないといけないのかもしれません。
また、地元住民の間で行うお祭りや行事、何かしらの作業に駆り出されることも多いようです。
刺激の無さ
忙しい毎日から解放されて、のんびりとした晴耕雨読の暮らしを始めたとしても、時間が立つにつれてだんだんその暮らしが退屈になっていくことも多いようです。
毎日畑仕事と読書ばかりの毎日に嫌気がさし、刺激や張り合いが欲しくなる ──
無い物ねだりと言えばそうなりますが、もともと晴耕雨読も無い物ねだりだったのかもしれません。
人間なら誰しもある感覚です。
やってみて初めて気づくということも多いでしょう。
晴耕雨読の暮らしを実際にしようと思うなら、これらの問題をクリアする必要があります。
晴耕雨読に向く人、向かない人
晴耕雨読の暮らしについては、それに向く人と向かない人がいるようです。
そこには年齢や性格というものも大きく影響してきます。
もともと土にまみれて体を動かすような畑仕事に喜びを感じられるような人なら良いですが、そういった仕事があまり得意で無い人には当然向いていません。
畑仕事も読書も、たまにやるのは楽しいかもしれませんが、それが毎日のこととなると確実に向き不向きというのが出てくるはずです。
また、年齢的なことも考えておく必要があります。
20歳の若者がそうした暮らしをしようとするのと、65歳で定年した人がそうした暮らしをしようとするのでは、やはり置かれた状況が違います。
20歳の若者は、まだ先が長いですから、本気で生活基盤を作っていかなければなりませんし、将来子供を持ったときのことなども考えなくてはならないかもしれません。
定年後であれば、そこまで考える必要もなく気軽に始めることも可能です。
しかし、とは言えそれでもまだ数十年あるはずですから、それなりの覚悟は求められます。
交友関係も変わる
晴耕雨読の暮らしを始めたら、交友関係も変わらざるを得ません。
ライフスタイル、住む場所、時間の感覚や価値観が変われば、一緒にいてもズレを感じることが増えますから、それまで親交が深かった人達ともだんだん疎遠になってしまいます。
それまで仲良くしていた人たちとの関係も変わっていくはずです。
そうなると、孤独を感じることもあるでしょう。 それに耐えられる人でないと、晴耕雨読は続けられないかもしれません。
都会で晴耕雨読の暮らし
ここまで、主に晴耕雨読の難しさについて書いてきましたが、そうした暮らしが本当に好きな人にとっては理想のライフスタイルと言えます。
また、都心に住みながらそうしたライフスタイルを実践することだって不可能ではありません。
もっとも、その場合はそれに十分なお金と仕事を確保する必要がありますが、それができれば本当の意味で理想の暮らしに近いのかもしれません。
例えば、人気ブロガーになれば、十分な収入を得ながら自分のペースでブログを書き、空いた時間に畑仕事をするなどの生活だって可能になるでしょう。
また、日本を飛び出して、海外で晴耕雨読の暮らしを実践するなんていうやり方もあるかもしれません。
むしろ、海外には日本よりもっと洗練された晴耕雨読のスタイルが確立されている可能性があります。
都会であくせく働くか、それとも田舎でのんびり晴耕雨読の生活をするか、という二者択一ではなく、自分なりの晴耕雨読的ライフスタイルを模索する ──
そんなことも可能な時代になりました。 そうした暮らしを目指す人は、想像力を発揮して自分に合った晴耕雨読のスタイルを模索して行きましょう。
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