「どうせ無理」、やる気をくじく言葉を無くすために宇宙開発に挑む男の感動のスピーチ

札幌で2014年7月に開催された「TED x Sapporo」のスピーカーとして参加した、北海道・赤平市にある株式会社植松電機の専務取締役、植松努 氏。 

周囲から無理だと言われながら宇宙開発に挑み続ける同氏が語る、「どうせ無理」というやる気をくじく言葉に負けずに挑み続ける理由はとても胸を打つものでした。

モチベーションを考える上でも、非常にためになるスピーチだったのでここでも紹介させていただきます(※最後にそのスピーチ(20分程度)の動画あり)。

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ばあちゃんとじいちゃんにおしえてもらったこと

植松氏の祖母は樺太で自動車の会社をやっていたそうです。でも、戦争で自分が頑張って働いて貯金したお金が全部紙くずになってしまいました。

そして、植松氏にこう教えたそうです。

「お金は値打ちが変わってしまうものだよ。だからくだらないお金があったら貯金なんかしないで本を買いなさい。頭に入れなさい。そうすれば誰にも取られないし、新しいことを生み出すんだよ。」

そして、植松氏は本屋が大好きな子供になりました。

また、祖父との一番の思い出は一緒にテレビで見たアポロの月面着陸だそうです。
そこで見たのは祖父が見たことないほど喜んでいる姿。

「ほらみれぇー、ほらみれぇー、人が月行ったぞ。お前も月行けるぞ」

そんなに喜んでる祖父を植松氏は見たことがなかったそうです。そしてその笑顔をもう1回見たいと思ったそうです。

植松氏は本屋に行けば宇宙ロケットの本を手に取るようになり、そうすると、祖父はでっかい手で頭を撫でてくれたのだといいます。

中学の先生に言われた「そんなの無理だ」の言葉

そうして中学生になった頃には、当然のように夢は飛行機やロケットの仕事をすることなっていました。

そんな植松氏に中学校の先生は「夢みたいなことを言ってないでテスト勉強しなさい!」と教えました。
さらに「そもそも宇宙なんちゅうものはよほど頭が良くないと無理だ。凄くお金もかかるんだぞ! だから、それは別世界の話だ。お前なんかが出来るわけ無い。」と言いました。

植松氏はとっても悲しくなったそうです。

そして、考えます。

夢ってなんだろう? 

できそうな夢しか見ちゃダメなの? 

でも出来るか出来ないかは一体誰が決めるんだろう? 

やってみなきゃわかんないはずなのに、やったこともない人が決めるのは変じゃないか?

そして、今出来ないことを追いかけるのが夢っていうんじゃないのかな? と思ったそうです。

でも、ちゃんと勉強しなければいい学校に入れなくて、いい会社に入れなくて大変だよと、大人たちから脅されます。

それでも植松氏は一生懸命自分の大好きなことを追いかけました。

本の中の人たちに勇気付けられた

そんな植松氏は周りの人に理解されなくなります。友達からも、先生からも、そして親からも「そんなことしてて大丈夫なの?」と言われるようになります。

「何それ自慢?」と言われて、自分の好きなことを人にしゃべることができなくなってしまう中、大好きな本の中の人物たちに救われます。

それは、ライト兄弟だったり、エジソンだったり、同じように誰にも信じてもらえない人たちでした。
でも、彼らは一生懸命頑張っていた。それが植松氏を勇気付けてくれました。

それで植松氏は頑張れた。好きなことをもっと好きになって、もっと伸ばしていった。
それで会社を経営することになった。

今ではリサイクルに使われるマグネットという機械を作りながら、ロケットも作っている。

「どうせ無理」という言葉を使うのは、やったことがない人たち

植松氏は、「どうせ無理」という言葉は恐ろしい言葉だと言います。

「これは人間の自信と可能性を奪ってしまう最悪の言葉です。でも、とっても簡単な言葉なんです。これを唱えるだけで何もせずに済んでしまうから、とってもらくちんになれる恐ろしい言葉でもあるんです。こんな言葉で未来を諦めさせられてしまった人たちは自信を失ってしまうんです。でも人間は生きていくためにはどうしても自信が必要なんです。」

「だから自信をなくしてしまった人たちの中には、お金で自信を買うようになって、身を飾るようになったり、また、それを自慢しなくてはいけなくなったり、そのために人を見下すことをしてしまったり、他の人が頑張ったら困るから努力を邪魔するようになってしまうと思うんです。こういう人が皆さんの身の回りにも、もしかしたらいるかもしれません。」

自信をなくした人たちは他の人の自信を奪ってしまうことがある

そして、その人たちは自信をなくしてしまった可哀想な人たちなんだと言います。

「その人たち自分の自信を守りたくて、しょうがなく他の人の自信を奪ってしまっているのかもしれません。」

「アフリカでは自分なんて勉強したって無駄だ、努力したって無駄だって、自分の未来や可能性を諦めてしまった人たちが最後には人を殺して奪うようになるんだそうです。なぜならば、頑張れないから生み出せないから奪うしかないんです。」

「暴力で奪うこともできます。でも、他にも嘘をついたり、弱いフリをしたり、騙したりして、奪うことをもできるんです。皆が奪ってしまったら社会なんか成立しないんです。僕はこの「どうせ無理」という言葉の恐ろしさを知ることができました。」

そして、「どうせ無理」というのを教えるのは、やったことがない人だと言います。

「やったことがない人が適当なやらない言い訳を教えてくれるんです。」

「だからこそ僕は、「どうせ無理」という言葉を無くそうと思いました。これが無くなったらいじめや暴力や戦争がなくなるかもしれない。児童虐待もなくなるかもしれないと思いました。だから、僕は誰もがどうせ無理だと思っている宇宙開発をしてみようと思ったんです。」

植松氏にとって宇宙開発は手段にすぎないのだそうです。大きな夢を追いかけることによって、無理なことはないのだと身を持って示そうとしています。
「どうせ無理」という言葉に負けない人を増やそうとしています。
そしてそれがいじめや暴力や戦争の撲滅に繋がるのだと信じています。

失敗したら「ただいま成長中!」って言えばいい

「失敗した自分を、逃げた自分を、諦めた自分を責めないでください。へこまないでください。そんなことする必要ないんです。
そんな時に自分の心中はもう苦しいとか、辛いとか、申し訳ないとか、悔しいとか、悲しいとか、恥ずかしいがもうぐるぐるして大変なことになってるんです。
でも、このグルングルンしてる最中は、「ただいま成長中!」って言えばいいんです。そしたらプリっと一皮むけるんです。だからぜひ、「ただいま成長中」って言って見てください。
そんな僕らは生まれて初めての1回きりの人生をぶっつけ本番で生きているんです。
そんな僕らは何のために生まれてきたのか。僕らにとって失敗というものはよりよくするためのデータに過ぎません。ぶっつけ本番だから失敗して当たり前です。失敗はよりよくするためのデータだと思って乗り越えて欲しいです。」


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