「知」「情」「意」
人間の持つ3つの働きとは?

知情意とは?

人間には「知情意(ちじょうい)」という3つの働きがあり、私たちはそのバランスによって動いています。

「知情意」とは「知性」「感情」「意志」の3つのこと。
もともとは哲学者カントが提唱した言葉です。 

この3つのバランスは人それぞれ強弱があり、それによってその人の特徴が作り上げられているといっても過言ではありません。

これは人間を理解する上で非常に役立つ考え方なので、ぜひ最後まで読んでみてください。

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目次

知情意の関係性

まず、3つの関係性をもう少し見ていきましょう。 

「知(知性)」、つまり必要な知識を得てそれを活用したり、物事を考えたりする能力が大切であることは言うまでもありません。

通常は賢い人の方が効果的に物事を動かしていけるはずです。 

しかし、「知」だけあれば良いかというとそうではありません。
そこに「情」というものが上手く加わらないと「知」の能力も十分に発揮されません。

例えば「知」ばかり優っていて「情」の薄い人は、自分の利益ばかりを追求して他人のことをないがしろにするかもしれません。

そうならないために「情」が必要です。
自分の感情も人の感情も大事にするといった感覚です。

しかし「情」にも欠点があります。
それは瞬間的に湧き上がりやすく、そこに飲み込まれやすいということです。

特に人間は、喜び、怒り、悲しみ、楽しみ、愛しさ、憎しみ、欲望といった7つの感情に飲み込まれやすいと言われています。

心の他の箇所を使ってこれらをコントロールしていかなければ、極端に突っ走ってしまうことになりかねません。

そこで「意(意志)」というものが必要になってくるわけです。

意志の力で感情をコントロールするということです。
感情が暴れ馬のように暴れ出したらそれを制御するのです。

もちろん、「意志」ばかり強くて「知」や「情」が足りなければ、人の意見に耳も貸さずに自分の主張ばかり押し通すような頑固者になってしまいます。

このように人間の持つ3つの働きは相互に関係しあっており、そのバランスをとることで大きな力を発揮できるようになります。

どれか一つが強過ぎたり弱過ぎたりすると苦しみを生み出します。バランスが大事なんですね。

夏目漱石による知情意

夏目漱石もこの3つの働きについて、『草枕』の冒頭で次のように書いています。
「知情意」という3つの働きについてもしっかりと押さえている点に注目してみてください。

「山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。 知に働けば角が立つ、情に棹(さお)させば流される。 意地を通せば窮屈だ。 とにかく人の世は住みにくい。」

さすが惹きつけられる名文です。

「知」ばかり先行して動くと嫌われるし、「情」ばかりで動くと流されてしまう。そして「意」を貫いてばかりだと息苦しいというわけです。

さらっと語られていますが、これは私たちが生きていく上で常に立ちはだかる大きな課題なのかもしれません。

ところでこの文章、裏を返せば「知情意の3つのバランスさえちゃんと取れば人の世は住みやすくなる」と読むこともできますね。

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松下幸之助が語る知情意

パナソニック創業者の松下幸之助もこの「知情意」のバランスについて次のように発言しています。 

この知情意は、人間が人間としての働きを高めていく上に置いて非常に大事な枢軸であります。すなわち、知情意の調和を図り、かつ高めていくことが、人間性を向上させることになると思うのであります。
日常生活を省みても、知情意の不調和からいかに面倒な問題と無用な闘争、損失を引き起こしていることでしょう。
友人同士の間で、「お前はどうも情が薄い」とか、「君は知はあるが意志が弱い」などとよく言い交わすことがあります。
この言葉は、知情意の調和を心がけなければならないことを意味しています。

人間性を向上させるとは、「知」「情」「意」の調和を図り、それらを高めていくということだと言っています。

また、その不調和が多くの問題や損失を引き起こすとのことです。

「知」「情」「意」を、それぞれ「賢さ」「優しさ」「強さ」と置き換えると、さらに理解しやすくなるかもしれません。

「強くて優しくて賢い」 ── 人間として目指したい姿です。

足りない部分を補ってバランスを整える

松下幸之助の言葉にもあったように、物事がうまく運んでいない時は、この3つのいずれかが欠けていることが原因かもしれません。

知識が足りない
優しさが足りない
意志が欠けている

……いずれかです。 

いつも同じパターンで失敗する人は、知情意のバランスを整えてあげることで問題が解決する可能性があります。

自分の中の足りない側面を成長させることでもっとパワフルな自分へとバージョンアップできます。

もちろん、自分の苦手な側面を成長させるのは簡単なことではありません。

その場合、まずはその側面の強い人を見習ってみたりアドバイスを受ける。
または、パートナーとして働き、その側面を補ってもらうようにすれば、きっと足りないピースが補われたかのように物事がスムーズに動き出すでしょう。

まとめ

人間には「知情意」という3つの働きがあり、私たちはそのバランスによって動いています。

この3つの働きは相互に関係しあっており、調和をはかりながら高めていくことで人間性が向上していきます。


カテゴリ モチベーションコラム
 タグ  哲学

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